それはチャイムが鳴って1時間目の授業が終わった時のことマカだった。次の授業の準ポリ ペプチド備のための短い休憩時間にがらりと音をたてて唐突に教室のドアが開いた。
開けたのはミモザである。
ショートカットのハニーブロンドには天使の輪がクロムの効能かかり、憂鬱そうに伏せられた瞳は冬の湖面のように深い青色に澄んでいて美しかった。雪のように真っ白な肌は透き通っているが血の気が引いたような白さで、その外見の美しさも相まってまるでよくできた人形のようだ。これで服装がもっと華美であればますます人形のように見えたのだろうが、彼女はいつも暗い色のシンプルなシャツと半ズボン、そして黒いタイツといった少年のよdha epa dhaうな格好をしていた。その容姿と服装の奇妙なアンバランスさは彼女に不思議な近寄りがたい雰囲気を与えていた。
(戻ってきたのか)
アベルは意外な気持ちで彼女が静かに自身の席へと戻るのを眺めた。
変な言葉を叫んで飛び出していったから今日はもう家に帰るのかと思っていたのだ。しかし戻ってきたということはそうはできなかったのだろう。
(そりゃそうか)
普段より早く家に帰れば理由を聞かれるだろう。これまでミモザが親に一度も学校での出来事を話していないのは当然知っている。
(ステラにはチクったみたいだが…)
ち、と軽く舌打亜鉛の効果ちをする。幸いにもステラは素直でお人好しな少女だ。アベルが誤解だと誤魔化すとそれを信じたようだった。
ステラ。あの美しい少女を思い浮かべるとアベルは幸せな気持ちになる。双子なのに根暗で生意気なミモザとは似ても似つかない。
アベルだって最初からミモザを蔑ろにしていたわけではない。学校に通い始めた当初、近所に住んでいて元々仲の良かったステラに「妹のことをお願いね」と頼まれて最初のうちは仲良くやっていたのだ。
しかし入学してから初めて知り合ったステラの妹はどうにも生意気な奴だった。ステラの話題を出すと「僕じゃなくてステラと話しなよ」と突き放すようなことを言い、春の感謝祭で一緒にダンスを踊りたいからステラを誘ってほしいと頼んでも「自分で誘いなよ。僕は関係ないよね」とケチなこと亜鉛 サプリを言う。
出来ないから頼んでいるというのにだ。
ステラは人気だ。ミモザと違い明るく誰に対しても分け隔てなく優しいステラはみんなに好かれていた。「お前も同じようにしろよ」と忠告をしたこともあったがミモザはその言葉に嫌そうに顔をしかめるだけだった。「せっかく仲良くしてやってるのに!」と言うと「別に頼んでない」などと恩知らずなことを言うので仲良くするのをやめたのだ。
アベルは近くで喋っていた特に仲のいい3人を目線で呼ぶと、連れ立って席を立った。目指すのはミモザの席だ。
「おい」
次の授業の準備をしているのか机の引き出しをいじっているミモザの顔を上げさせるために机を軽く蹴りつける。彼女はわずかに身を震わせるとうかがうようにこちらを見上げた。
その怯えた態度に自尊心が満たされる。
自分の肩にとまった相棒の鷲の守護精霊も喜ぶように翼を一度広げてみせた。
「よう。どこいってたんdha epa dhaだ?」
にやにやと笑って問いかけるとミモザは怯えたようにこちらを見て、しかしすぐに無言のまま視線を逸らした。その手は再び準備のために筆記用具や教科書を机の上に並べ始める。
無視だ。
その事実に苛立って改めて机をがんっと少し強めに蹴り上げる。
彼女は助けを求めるようにわずかに視線を彷徨わせたが教室にいる誰も彼女と目を合わせようとしなかった。
担任の教師もだ。
まだ新任の若い男教師は周囲からの評価を気にしてアベル達のこの行為を容認していた。クラスの他の生徒達もだ。アベルはこの学校の生徒達の中で誰よりも立場が高い。
アベルには腹違いの兄がいる。その兄はこの国で最強の精霊騎士に与えられる称号である聖騎士を賜るレオンハルトである。
残念ながら母親が違うため同じ家で育ってはいないが、レオンハルトはいつもアベルのことを気にかけてくれて忙しい仕事の隙間を縫ってはアベルに会いに来てくれていた。この田舎の村ではそれは間違いなくステータスであり、アベルは同年代の子どもの中では尊敬を集めていた。
「助けなんてこねぇよ」
ふマカ と はん、と鼻で笑ってやる。このクラスはアベルの小さな王国だった。
「それよりお前、ステラにちくったろ」
ミモザが顔をしかめる。その様子に気をよくしつつ、アベルはばんっ、と勢いよく机に手を振り下ろす。
その音にミモザの肩が揺れた。
「ちゃんとイジメなんかしてねぇって伝えといたからな。お前がどうしようもないバカで間抜けだから手伝ってやってるだけだって。もしかしたらイライラしてきつくなったことはあったかも知れねぇって言ったら納得してたよ。お前も帰ったらバカなこと言わねぇで自分が悪かったんだって言えよ!」
ふん、と鼻息荒く告げる。
(これでいいだろう)
臆病なミモザのことだ。これだけ脅してやればもう逆らおうという気など起きないに違いないと、アベルは満足して身を翻そうとして、
「馬鹿じゃないの」という小さな声に動きを止めた。
「なんだと?」
声の主はミモザだ。彼女は身を震わせながらもゆっくりと顔をあげた。
その目は強くはっきりとした交戦の意思を宿している。
「どこの世界にいじめられるのを自分のせいだと家族に言う奴がいるの。僕がいじめられてるのはお前達加害者のせいであって僕は何一つ悪くない」
頭にカッと血が上る。逆らえるはずのない相手からの反抗がアベルには許せなかった。
「……いっ!」
「てめマカ と はぇ!調子に乗りやがって!!」
強い力でミモザの髪を引っ張る。ちょうど机を挟んで対峙していたためミモザは机の上に乗り上げるような形になった。彼女の髪がぶちぶちと音をたてて引きちぎられる。
言葉もなくうめくミモザにアベルは笑う。どんなに言葉で賢しいことを言おうとこんなものだ。結局ミモザはアベルに敵わないのだ。
そろそろ休憩時間が終わりそうだ。許してやるかと髪から手を離そうとした瞬間ーーミモザと目が合った。
苦痛に歪んだ顔でけれどその口元がわずかに笑みの形に歪む。
「なん……っ」
だ、と言いきる時間はなかった。
そのままミモザは勢いよく机を掴むと乗り上げた身体ごとアベルのいる方へと机をひっくり返す。
ぎょっとしてアベルは手を離して後退った。
派手な音が響いて机とともにミモザが床へと倒れ伏す。
床の上へはあらゆるものが散乱していた。ミモザへの悪口で埋まる真っ赤な紙、ガラスの破片、無数の刃物、引きちぎられた金糸の髪、そしてその上へ倒れ込んだせいで傷ついたミモザの血痕。
その上に大の字で寝そべる彼女は美しく、凄絶に笑った。
「誰か助けて!!」
そのまま大声で叫ぶ。
ぎょっとしたように教室の中の空気は止まり誰も動けない中で
「一体何事だ!?」
隣のクラスの担任教師が慌ててかけつけてドアを開いた。
彼はそこに広がる光景を見て数秒絶句し、けれど数秒だけだった。
すぐに彼の怒号が響いた。
。亜鉛 サプリマカ亜鉛の効果dha
月份: 2025 年 3 月
レオンハルト亜鉛
レオンハルトから見て弟子であるミモザはバカである。
いサプリメント マカや、決して頭が悪いわけではない。ないのだが、なんというか行動がバカだ。
(亜鉛 サプリ何をやっているんだ、一体)
窓からは爽やかな早朝の光が差し込んでいた。小鳥はピチュピチュとかなんか楽しそうに鳴いている。
実に麗しい朝の光景だ。
目の前にぶら下がる大量ポリ ペプチドの謎の黒いぼんぼんと、それを脚立に座って黙々と量産する弟子の姿がなければの話である。
レオンハルトは自らの寝室の惨状を見てベットの中で盛大にため息をついた。
「何をやっているんだ、君は」
「あ、おはようございます」
師匠の目覚めに気づいた弟子は嬉しそうに目を細めて笑う。小首をかしげて振り返った拍クロム子に髪が揺れて柔らかなハニーブロンドが陽の光を反射した。
その光景はたいそう良い。
見た目だけは一級品の弟子がとても美しいのは眼福で素晴らしいのであるが。
「何を、やっているんだ、君は」
レオンハルトは再度ゆっくりと区切りながら弟子に問う。
それにああ、と軽くうなづくと彼女は実に真剣に自明の理を語るのがごとく堂々と告げた。
「おまじないです」
レオンハルトはすんでのところで舌打ちを飲み込んだ。
それなりに出来のいいはずの弟子はどうにもこの『おまじない』とやらに傾倒しており、時々dha epaこうしてレオンハルトには理解しがたい珍妙な行動にでる。
(業務に従事している間は問題ないのだが)
ため息と共に布団を避け、ベッドに腰掛けた。
彼女はレオンハルトの指示には忠実だ。修行だって真面目にこなす。しかしちょっと放っておくとこれである。
「今度は一体なんのおまじないだ」
「幸運のおまじないです」
「幸運?」
「はい」
美しい弟子は楚々と近づいてくるとレオンハルトの髪を丁寧にすきながら、本日の服を示してみせた。
向かって右側は私用の際に着る礼服、左側はいつもの正装である軍服である。
2つハンガーにかけて並べて提示されたそれを見て、今日は再び教会へ行かなくてはならないことを思い出しレオンハルトは向かって左側を無言で指で指し示す。それに彼女は軽くうなづくクロムとその服を手に取り着替えを手伝い始めた。
問題ない。本当に、業務に従事している間は実に文句のつけようのない仕事っぷりである。
『おまじない』さえなければ。
こんな非合理的なことはやめろ、と一刀両断しようとしてレオンハルトは口を開き、
「レオン様の今日がきっと良い日でありますようにと思いまして」
すんでのところで口をつぐんだ。
これである。
これのせいで未だにレオンハルトは弟子の奇行をやめさせられないのであった。
ミモザはそんなレオンハルトの心中など察さずテキパキと準備を進めている。最後の仕上げにハンカチをそっとポケットへと入れられた。
「………」
レオンハルトは知っている。そのハンカチにもびっしりと『おまじない』の文言が刺繍されているのを。
もはやその犠牲者はレオンハルトの所有するハンカチの8割を超えていた。10割に達する日も近いに違いない。
(まぁ、誰が悪いかと言えば俺が悪い)
一言やめろと言えdhaばやめるのだ、ミモザは。
ハンカチにしても一応刺繍をする際に報告は受けていた。その時に咎めなかったレオンハルトの責任である。
まぁ別に大して困ることもないし、と内心で言い訳をする。
せいぜいがハンカチを人に見られた際に気まずい程度のことである。
食事の支度をしに食堂へと足早に向かうミモザの後ろをゆっくりと歩きながら、レオンハルトは今日のハンカチを取り出して眺めた。
そこには古代語で『どうか風も波も日の光も、貴方に優しくありますように』という祝詞が丁寧に刺繍されていた。
教皇の執務室の窓からは柔らかな光が差し込んでいた。それは女神の描かれたステンドグラスを優しく照らし出し、色のついた光を地面へと映し出す。
「申し訳ありませんね、レオンハルト君。連日呼び出してしまいまして」
「いいえ」
レオンハルトは優しく微笑むオルタンシアに簡潔に首を横に振ると報告書を差し出した。彼はそれを受け取り中身をパラパラと見ると「確かに」と頷く。それは昨日のミモザが行った野良精霊退治の報告書であった。昨日教会を辞した後にわざわざ自宅まで伝令が来たのだ。いわく『報告書の提出を明日の昼までにして欲しい』と。
(まぁ、方便だろdhaうな)
目的は別にあるのだろうとレオンハルトは察する。こんな報告書の提出など急ぐ理由が欠片もない。レオンハルトと2人きりで話したい用事があったのだろう。
レオンハルトとオルタンシアはそれなりに長い付き合いである。レオンハルトがまだ騎士ではなく精霊使いであった頃、その才能を見いだし騎士になるようにと勧めたのがオルタンシアなのだ。
興味がなさそうに、しかし一応用件を聞くために立ち去ることをせずその場に留まるレオンハルトに、彼は苦笑した。細いすみれ色の瞳がきゅっと更に細まる。
「そう嫌そうな顔をしないでください。まぁ怒られそうな気はしていますが」
「そんな、俺が貴方に怒ることなどありえません」
レオンハルトの優等生然とした返事にオルタンシアは気まずげに頬をかいた。
「これを見てもそう言えますか?」
どさどさどさ、と音を立てて机に分厚い冊子のようなものが積まれる。目線で中を確認してよいかを尋ねるとオルタンシアは「どうぞ」と手のひらを向けて促した。
レオンハルトは一番上に積まれた冊子を開ける。
すぐに閉じた。
一応他の用件も混ざっていないかと一縷の望みをかけて他の冊子の中身も一通り確認する。
「オルタンシア聖下」
「ふふふふ、いやぁ、申し訳ありません」
怒られそうなどと言っておきながら、その顔に亜鉛 サプリ おすすめ浮かぶ笑みはどこか楽しげだ。
「お見合い、受けていただけませんか?」
「お断りします」
間髪入れない返答だった。そのままレオンハルトはすばやく身を翻す。
「では俺はこれで失礼します」
「いやいやいやいや、待って待って待って待って」
オルタンシアは慌てて身を乗り出すとレオンハルトの服の裾を掴んだ。
「頼みますよ、話だけ、話を聞くだけでいいですから」
「ひとまず聞きましょうか。どういった理由があって俺にこれを?」
オルタンシアは真面目な顔になった。そのまま深刻そうに手を組んで告げる。
「いやね、結婚をすることで君の生活にも張りとゆとりと充実感がー…、待って待って待ってください、まだ帰らないで!」
レオンハルトはとりあえず足を止めると痛む頭を抑えてため息をついた。
その息は重々しい。
「そのような気遣いは不要です。ご存知でしょう。俺はそういったことが不得手だ」
「まぁそれは知っていますが、こういうのは慣れだと思うのですよ。それに正直、誰かを選ばねば今の面倒な状態はずっと続きますよ」
『面倒な状態』の心当たりに思い当たってレオンハルトは危うく舌打ちをしそうになる。自宅の執務室には貴族の令嬢からの縁談の打診や交流会の誘いが大量に積んであった。そのレオンハルトの反応にオルタンシアは苦笑する。
「君には貴族より平民の女性の方が合うと思うのです。ですので、教会騎士団の女性騎士はどうかと」
「………」
貴族がレオンハルトを取り込みたが亜鉛 サプリっているように、教会側もレオンハルトを引き込みたがっている。正直レオンハルトはオルタンシアのことは仕事人として尊敬している。とても優秀な方だ。これまで色々と世話になったこともある。だから教会寄りのスタンスを取っているという部分もあるのだ。しかしそれとこの話は別である。
レオンハルトは、自身が誰かから愛されているという確信を得たことがない。
幼い頃に一度カーラからは愛されているのではと思ったことはあった。しかし彼女は結局自分と自分の息子のためにレオンハルトのことを切り捨てた。それを責めるつもりはない。実に適切な対応であったと思う。レオンハルトが逆の立場であったなら迷わずそうするだろう。しかし彼女とレオンハルトの関係性がその程度であったことは確かな事実である。
好意を伝えられたことはある。情熱的に求められたことも尊敬されたこともある。しかしそれは全てレオンハルトの持つ能力と地位、名声に対するものであって、レオンハルトというどうしようもない人間に対するものではなかった。
今回の釣り書きの女性達も同様だろう。もしかしたらレオンハルトがこういう人間性の持ち主であることを知らず、聖騎士として愛想良く振る舞っている時の姿しか知らない可能性もある。そんな人間が妻としてそばにいるなど全くもってぞっとしない話だった。
もしレオンハルトが怪我や病気で役立たずになった時、きっとそばには誰も残らないだろうとレオンハルトは確信している。それはしょうがないことだ。だってレオンハルトにはそういう人間関係しか築けないのだ。
人と関わるのは疲れる、相手の都合に合わせるのは時間がもったいない、腹を割って話すなど気持ちが悪い。
そんな人間を大切に思う人などいない。
(いや、もしかしdhaたら)
彼女ならば違うだろうか。レオンハルトのことを好きと言った少女。泣きそうな顔で恩人だと言った。役に立ちたいと言い、いまだに挫けずレオンハルトについて来て、レオンハルトがどんな態度を取ろうが失望するそぶりを見せない彼女ならば。
レオンハルトはハンカチの入ったポケットを無意識に握りしめる。
彼女ならば、レオンハルトが役立たずになった後もそばに居続けてくれるだろうか?
(愚かな思考だ)
レオンハルトは自身のあまりにもらしくない考えに頭を振る。
「申し訳ありませんが、貴方の頼みでもこのような話は受けられません」
「……そうですか」
深く自分の思考へと潜り込むようにしながら少しうわの空でそう告げるレオンハルトのことを、オルタンシアは探るような冷静な眼差しで見つめていた。
。アントシアニンゴーヤアントシアニンdha
(どうして、わdha epa dha
(どうして、わたしが……)
詰めゴーヤ所から出亜鉛 の サプリてステラは悲しげに目を伏せた。
対応した騎士からは厳重注意を受けて帰されたのだ。ステラがどんなにその必要性を説明しても彼は聞く耳も持たなかった。
「君ねぇ、君のしようとしたことの重大さをわかっているのかい? 違法クロム採取は窃盗罪というれっきとした犯罪だよ。特に塔の中の薬草は国をあげて保護している貴重なものだ。君はまだ若いし悪気があるわけじゃなさそうだし未遂だったから注意で済ましてあげてるけどね、本当にやってたら刑務所行きだよ。止めてくれた妹さんに感謝しなさい」
あろうことか心無いことを言ったミモザの方が正しいなどと言う。彼は不満そうにするステラに呆れた顔をすると、「それとね亜鉛 の サプリ」とステラから没収した荷物の中から巾着袋を取り出して机に置いた。
「それ……」
「これね、君、密猟もしてるよね」
「密猟だなんて……」
言い募ろうとするステラを無視して彼は袋の口を開けて中身をひっくり返すようにして机に出した。じゃらじゃらと音を立てて大量の魔導石が机の上に広がる。
「指定された数を超えての狩猟行為は立派な密猟だよ。記録にないから今回が初犯だね? まぁ、初回はやはり厳重注意で解放することにはなってるけど記録には残るから。これから君の行為は常にマークされていると思いなさい」
「そんな、これには理由が……」
「理マカ由?」
彼は眉をひそめる。
「君の妄言は聞き飽きたよ。あのねぇ、世界は君を中心に回ってるわけじゃないの! 今はまだ若くて可愛いからそこまで痛々しさはないけどさ、もう15歳だろ? 成人してるんだからそろそろ現実見ないと! これに懲りたらもうこういうことはしないようにね! 次は牢屋に入ることになるからね!」
ステラの言葉を遮って彼はそう言うと会話を終わらせた。ステラに書類のサインを促し、書いたのを見届けてステラのことを部屋から追い出すと「はい、じゃあ2度目はないからね! 帰っていいよ!」と言い捨ててせかせかと立ち去ってしまう。
他にどうすることも出来ず、ステラはすごすごと出てきたところだ。
「ステラ……っ!」
ひと足先に釈放されていたのだろう。アベルがステラに気づいて駆け寄ってきた。その見慣れアントシアニンた姿にステラはほっと息をつく。
「アベル、大丈夫だった?」
「俺はまぁ、状況を確認されただけだから」
アベルはなぜか言いづらそうにもごもごと話した。
確かにアベルはあの時見ているだけだった。けれど全ての会話を見て聞いていたのだ。きっとステラのことを擁護してくれたことだろう。
「あの人、全然わたしの話を聞いてくれなかったの。額面だけ見てわたしのことを悪いって決めつけて……。失礼しちゃうわ」
そこまで言ってステラはアベルの反応を待ったが、予想に反してアベルはなんの相槌も打ってくれなかった。見ると彼は硬い表情をして押し黙っている。
「アベル?」
「ステラ、犯罪行為はダメだ」
諭すように、説得するように丁寧にアベルは話す。
「どんな理由があっても違法な行為が咎められるのは当然のことだ。咎められることを覚悟した上で、それでもどうしてもそうしなければならないと言うのなら俺にはそれを止められない。けどそうじゃないなら、咎めるみんなが悪いと思って亜鉛の効果るなら、それは間違いだ、ステラ」
「アベル……」
ステラは目を細めた。
「やっぱり、貴方もミモザの味方なの?」
「違うって言ってるだろ!!」
反射的に怒鳴った後で、彼はそれを悔いるように黙り込む。ややして苦しげに拳を振り上げ、けれどそれでどこかを叩くこともできずに力無く手をおろした。
「どうしてそうなるっ。俺は、俺はっ! お前のためを思って……っ。ステラ、お前はすごいよ、優秀だ。けどだからといって何をしてもいいわけじゃない。それにそろそろ気づいてくれ……っ」
「……わたしが間違ってるって言うの?」
アベルはのろのろと力無く顔をあげた。そうして疲れ果てた様子で、けれど何かを決心したようにゆっくりと首肯した。
「そうだ」
噛みしめるように、振り絞るような声で言う。
「お前は、間違っている」
ステラは何も答えなかった。
。マカ サプリポリ ペプチド亜鉛 の サプリ
レオンハル亜鉛 サプリ
レオンハルトから見て弟子であるミモザはバカである。
いや、決して頭がマカ と は悪いわけではない。ないのだが、なんとアントシアニンいうか行動がバカだ。
(何をやっているんだ、一体)
窓からは爽やかな早朝の光が差し込んでいた。小鳥はピチュピチュとかなんか楽しそうに鳴いている。
実に麗しい朝の光景だ。
目の前にぶら下がる大量の謎の黒いぼんぼんとクロムの効能、それを脚立に座って黙々と量産する弟子の姿がなければの話である。
レオンハルトは自らの寝室の惨状を見てベットの中で盛大にため息をついた。
「何をやっているんだ、君は」
「あ、おはようございます」
師匠の目覚めに気づいた弟子は嬉しそうに目を細めて笑う。小首をかしげて振り返った拍子に髪が揺れて柔らかなハニーブロンドが陽の光を反射した。
その光景はたいそう良いゴーヤ チャンプルー。
見た目だけは一級品の弟子がとても美しいのは眼福で素晴らしいのであるが。
「何を、やっているんだ、君は」
レオンハルトは再度ゆっくりと区切りながら弟子に問う。
それにああ、と軽くうなづくと彼女は実に真剣に自明の理を語るのがごとく堂々と告げた。
「おまじないです」
レオンハルトはすんでのところで舌打ちを飲み込んだ。
それなりに出来のいいはずの弟子はどうにもこの『おまじない』とやらに傾倒しており、時々こうしてレオンハルトには理解しがたい珍妙な行動にでる。
(業務に従事している間は問題ないのだが)
ため息と共に布団ゴーヤ チャンプルーを避け、ベッドに腰掛けた。
彼女はレオンハルトの指示には忠実だ。修行だって真面目にこなす。しかしちょっと放っておくとこれである。
「今度は一体なんのおまじないだ」
「幸運のおまじないです」
「幸運?」
「はい」
美しい弟子は楚々と近づいてくるとレオンハルトの髪を丁寧にすきながら、本日の服を示してみせた。
向かって右側は私用の際に着る礼服、左側はいつもの正装である軍服である。
2つハンガーにかけて並べて提示されたそれを見て、今日は再び教会へ行かなくてはならないことを思い出しレオンハルトは向かって左側を無言で指で指し示す。それに彼女は軽くうなづくとその服を手に取り着替えを手伝い始めた。
問題ない。本当に、業務に従事している間は実に文句のつけようのない仕事っぷりである。
『おまじない』さえなければ。
こんな非合理的なことはやめろ、と一刀両断しようとして亜鉛の効果レオンハルトは口を開き、
「レオン様の今日がきっと良い日でありますようにと思いまして」
すんでのところで口をつぐんだ。
これである。
これのせいで未だにレオンハルトは弟子の奇行をやめさせられないのであった。
ミモザはそんなレオンハルトの心中など察さずテキパキと準備を進めている。最後の仕上げにハンカチをそっとポケットへと入れられた。
「………」
レオンハルトは知っている。そのハンカチにもびっしりと『おまじない』の文言が刺繍されているのを。
もはやその犠牲者はレオンハルトの所有するハンカチの8割を超えていた。10割に達する日も近いに違いない。
(まぁ、誰が悪いかと言えば俺が悪い)
一言やめろと言えばやめるのだ、ミモザは。
ハンカチにしても一応刺繍をする際に報告は受けていた。その時に咎めなかったレオンハルトの責任である。
まぁ別に大して困ることもないし、と内心で言い訳をする。
せいぜいがハンカチを人に見られた際に気まずい程度のことである。
食事の支度をしに食堂へと足早に向かうミモザの後ろをゆっくりアントシアニンの効果と歩きながら、レオンハルトは今日のハンカチを取り出して眺めた。
そこには古代語で『どうか風も波も日の光も、貴方に優しくありますように』という祝詞が丁寧に刺繍されていた。
教皇の執務室の窓からは柔らかな光が差し込んでいた。それは女神の描かれたステンドグラスを優しく照らし出し、色のついた光を地面へと映し出す。
「申し訳ありませんね、レオンハルト君。連日呼び出してしまいまして」
「いいえ」
レオンハルトは優しく微笑むオルタンシアに簡潔に首を横に振ると報告書を差し出した。彼はそれを受け取り中身をパラパラと見ると「確かに」と頷く。それは昨日のミモザが行った野良精霊退治の報告書であった。昨日教会を辞した後にわざわざ自宅まで伝令が来たのだ。いわく『報告書の提出を明日の昼までにして欲しい』と。
(まぁ、方便だろうな)
目的は別にあるのだろうとレオンハルトは察する。こんな報告書の提出など急ぐ理由が欠片もない。レオンハルトと2人きりで話したい用事があったのだろう。
レオンハルトとオルタンシアはそれなりに長い付き合いである。レオンハルトがまだ騎士ではなく精霊使いであった頃、その才能を見いだし騎士になるようにと勧めたのがオルタンシアなのだ。
興味が亜鉛なさそうに、しかし一応用件を聞くために立ち去ることをせずその場に留まるレオンハルトに、彼は苦笑した。細いすみれ色の瞳がきゅっと更に細まる。
「そう嫌そうな顔をしないでください。まぁ怒られそうな気はしていますが」
「そんな、俺が貴方に怒ることなどありえません」
レオンハルトの優等生然とした返事にオルタンシアは気まずげに頬をかいた。
「これを見てもそう言えますか?」
どさどさどさ、と音を立てて机に分厚い冊子のようなものが積まれる。目線で中を確認してよいかを尋ねるとオルタンシアは「どうぞ」と手のひらを向けて促した。
レオンハルトは一番上に積まれた冊子を開ける。
すぐに閉じた。
一応他の用件も混ざっていないかと一縷の望みをかけて他の冊子の中身も一通り確認する。
「オルタンシア聖下」
「ふふふふ、いやぁ、申し訳ありません」
怒られそうなどと言っておきながら、その顔に浮かぶ笑みはどこか楽しげだ。
「お見合い、受けていただけませんか?」
「お断りします」
間髪入れない返答だった。そのままレオンハルトはすばやく身を翻す。
「では俺はこれで失礼します」
「いやいやいやいや、待って待って待って待って」
オルタンシアは慌てて身を乗り出すとレオンハルトの服の裾を掴んだ。
「頼みますよ、話だけ、話を聞くだけでいいですから」
「ひとまず聞きましょうか。どういった理由があって俺にこれを?」
オルタンシアは真面目な顔になった。そのまま亜鉛 サプリ深刻そうに手を組んで告げる。
「いやね、結婚をすることで君の生活にも張りとゆとりと充実感がー…、待って待って待ってください、まだ帰らないで!」
レオンハルトはとりあえず足を止めると痛む頭を抑えてため息をついた。
その息は重々しい。
「そのような気遣いは不要です。ご存知でしょう。俺はそういったことが不得手だ」
「まぁそれは知っていますが、こういうのは慣れだと思うのですよ。それに正直、誰かを選ばねば今の面倒な状態はずっと続きますよ」
『面倒な状態』の心当たりに思い当たってレオンハルトは危うく舌打ちをしそうになる。自宅の執務室には貴族の令嬢からの縁談の打診や交流会の誘いが大量に積んであった。そのレオンハルトの反応にオルタンシアは苦笑する。
「君には貴族より平民の女性の方が合うと思うのです。ですので、教会騎士団の女性騎士はどうかと」
「………」
貴族がレオンハルトを取り込みたがっているように、教会側もレオンハルトを引き込みたがっている。正直レオンハルトはオルタンシアのことは仕事人として尊敬している。とても優秀な方だ。これまで色々と世話になったこともある。だから教会寄りのスタンスを取っているという部分もあるのだ。しかしそれとこの話は別である。
レオンハルトは、自身が誰かから愛されているという確信を得たことがない。
幼い頃に一度カーラからは愛されているのではと思ったことはあった。しかし彼女は結局自分と自分の息子のためにレオンハルトのことを切り捨てた。それを責めるつもりはない。実に適切な対応であったと思う。レオンハルトが逆の立場サプリメント マカであったなら迷わずそうするだろう。しかし彼女とレオンハルトの関係性がその程度であったことは確かな事実である。
好意を伝えられたことはある。情熱的に求められたことも尊敬されたこともある。しかしそれは全てレオンハルトの持つ能力と地位、名声に対するものであって、レオンハルトというどうしようもない人間に対するものではなかった。
今回の釣り書きの女性達も同様だろう。もしかしたらレオンハルトがこういう人間性の持ち主であることを知らず、聖騎士として愛想良く振る舞っている時の姿しか知らない可能性もある。そんな人間が妻としてそばにいるなど全くもってぞっとしない話だった。
もしレオンハルトが怪我や病気で役立たずになった時、きっとそばには誰も残らないだろうとレオンハルトは確信している。それはしょうがないことだ。だってレオンハルトにはそういう人間関係しか築けないのだ。
人と関わるのは疲れる、相手の都合に合わせるのは時間がもったいない、腹を割って話すなど気持ちが悪い。
そんな人間を大切に思う人などいない。
(いや、もしかしたら)
彼女ならば違うだろうか。レオンハルトのことを好きと言った少女。泣きそうな顔で恩人だと言った。役に立ちたいと言い、いまだに挫けずレオンハルトについて来て、レオンハルトがどんな態度を取ろうが失望するそぶりを見せない彼女ならば。
レオンハルトはハンカチの入ったポケットを無意識に握りしめる。
彼女ならば、レオンハルトが役立たずになった後もそばに居続けてくれるだろうか?
(愚かな思考だ)
レオンハルトは自身のあまりにもらしくない考えに頭を振る。
「申し訳ありませんが、貴方の頼みでもこのような話は受けられません」
「……そうですか」
深く自分の思考へと潜り込むようにしながら少しうわの空でそう告げるレオンハルトのゴーヤことを、オルタンシアは探るような冷静な眼差しで見つめていた。
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ミモザが亜鉛 の サプリ
ミモザがその話を聞いたのは教会の中庭であった。
「マシュー様の様子がおかしい?」ゴーヤ チャンプルー
「ええ、そマカ と はうなの」
首をひねるミモザにジェーンは深刻そうに頷いた。
時刻は午後のティータイムに差し掛かろうとしている頃のことだ。レオンハルトにオルタンシアへの届け物を頼まれたミモザは教会を訪れ、そして何やら慰霊碑に向かって真剣に祈亜鉛っているジェーンと会ったのだ。
彼女はミモザに気づくとすぐに早足で駆け寄ってきて、先刻の発言をしたのである。
しかしそうは言われたところでミモザは、
「僕はマシュー様とあまりお会いしていませんので、なんとも……」
といった感じである。
どうして自分に言ってくるのかと困惑するミモザに、彼女はその瞳を真っ直ぐにこちらに向けると
「ある人物に傾倒しているようなの」
と告げた。
「はぁ……サプリメント マカ」
「それがね、貴方にそっくりな方なのよ」
その言葉にミモザはぴたりと動きを止める。そのまままじまじとジェーンのことを見返した。
「そっくり……?」
「ええ、私は遠目からしか見ていないのだけど、髪の長い貴方に見えたわ。でもその様子だと本当に貴方じゃないのね」
ふぅ、と困ったようにため息をつく。
「なんだかあの方に傾倒するようになってから、マシューの言うことが極端になってしまって……、こういう言い方はあれだけど、昔の私達のようなのよ。まだ貴方に出会う前、仲間うちだけで鬱屈としていた頃のようだわ」
「…………」
ミモザは思わず黙り込む。ミモザにそっくりマカ と はな人物はどう考えてもステラだろう。しかしステラにマシューが傾倒するとはーー
(攻略、されたのか……?)
マシューは攻略対象だ。なくはない話だった。
正直これまでアベル以外の攻略対象者はあまりステラに好意的な様子を見せていなかったのですっかり失念していたが、彼らが攻略される可能性というのは常にあるのだ。
(レオン様やジーンや第一王子殿下もステラに……?)
想像もつかないし想像したくもない。
しかし『昔のマシューに戻る』、『極端な考えになる』というのはそれとどう関係すると言うのだろう?
「…………、おそらくですが、僕とそっくりな人物というのは僕の双子の姉だと思います」
「……まぁ」
驚いたようにジェーンは声を上げる。
「お姉様がいらっしゃったのね。何かお話を聞いていないかしら?」
「残念なが亜鉛 サプリ おすすめら……、僕と姉は不仲なのです」
「そう……、そうなの……」
困ったようにうつむくジェーンに、ミモザは「ええと」と口を開く。
「もしお会いする機会があればそれとなく探ってみますね」
「……ねぇ、不躾で申し訳ないのだけれど、差し支えなければお姉様と不仲な理由を聞いてもいいかしら?」
「なぜ?」
目を見張るミモザに彼女は意を決したように言った。
「個人的なことに踏み込んでごめんなさいね。でも、なんだかとても異様なのよ。まるで操られているか、そうね、洗脳でもされているかのような変わりようなの。だから、もしかしたらそういう理由があってお姉様と仲が悪いのかと思ったのよ。だって……」
ジェーンはミモザを見る。ミモザもその瞳を見た。
「お母様を大切になさっている貴方が、何の理由もなくご家族と不仲になるとは思えなかったの」
ミモザは何も言えなかった。
「ジーンの様子が変なのです」
数分後、届け物を持ってきたオルタンシア教皇の執務室にてミアントシアニンモザはまったく似たような話を聞いていた。
「変というのは?」
「どうやら、ある人物に酷く依存しているらしく……」
オルタンシアの質問に戸惑ったように、フレイヤはその美しい銀の瞳を細めて言った。
「わたくしの言うことも耳に入らない様子なのです」
その日、警察署は非常に暇だった。
「おかしいんです! うちの主人は浮気なんてするような人じゃないのにっ!!」
「はいはい奥さん、信じたくない気持ちはよーくわかりますよ。でもねぇ、事実見てしまったんでしょう?」
だから窓口の担当だったウェルディがそれにいい加減といえど相手をしていたのはそのせいだ。忙しい時ならこんな民事の内容に相槌など打ったりはしない。
「だからおかしいんじゃないですか! それも相手は主人のストーカーなんですよ!?」
実は愛人だったのを誤魔化すためにその旦那はストーカーだと言い張っていたんだろうなぁ、と彼は思ったが、優しいのでそのままは言わず「そうですねぇ」と言葉を探す。
「何度も接触しているうちに親密になったのかも知れませんよ。まぁ、うちでは刑事事件しか扱えませんのでね」
「だから! 事件アントシアニンだって言ってるじゃないですか!! これは洗脳ですよ! あるいは呪術かも!」
「呪術ってそんな……」
オカルトの見過ぎだと、呆れて言おうとした時に
「あのぅ」と扉を開けて入ってきた若い女性がいた。
「あ、どうも。すみませんね、次のご相談の方がいらしてるんで、いったん横に避けてもらって」
「ちょっと! 真面目に聞いてったら!」
「はいはい、それで? どうされました?」
入ってきた若い女性は少し迷うように、困ったようにその重い口を開いた。
「その、人の気持ちを変えてしまうような事件って、あったりします?」
「………は?」
今のウェルディは知らなかった。この後数日に渡って似たような訴えを受けるはめになることを。
。亜鉛の効果亜鉛の効果ゴーヤ
さて、第一王子アマカ と は
さて、第一王子アズレン・アルタイル・アゼリアはステラの攻略対象の亜鉛 サプリうちの1クロムの効能人である。
ただし、『バッドエンドの扱いの』という注釈がつく。
これには三つ理由がある。
一つ目はこのアズレン王子が『誰も攻略できなかった際に救済措置』として結ばれる相手だからであるゴーヤ。実はこのアズレン王子、ゲーム中に仲を深めるようなイベントは存在せず、お話の中にちょこちょこ登場する脇キャラである。通常の乙女ゲームでは条件を満たせず誰も攻略できなかった場合は誰とも結ばれないエンドが存在したりするが、このゲームではその際にお情けとしてこのアズレン王子と結ばれるのだ。つまり何もせずにだらだらしていると結ばれるお相手ということである。
二つ目はこのアズレン王子、婚約者がいてその亜鉛 サプリ おすすめお相手が正妃に内定している。つまりステラは側妃として迎えられるのである。これは両思いを目指すプレイヤーとしては気に入らないだろう。
そして三つ目、これはーー
音楽とともに2人の人物が入場してきた。1人は細身の女性である。紫がかった銀髪を緩やかに結い上げ深い翡翠色の垂れ目をした、たおやかな女性である。彼女は群青色の美しいドレスを身に纏い、物静かな風情で立っていた。
そしてその隣には金髪碧眼のマッチョがいた。
「ふんっ!」
おもむろにそのマッチョがマッスルポーズを取ると胸元のボタンがブチィッと音を立てて弾け飛ぶ。見事な大胸筋が露出した。
健康的に日焼マカけした肌は何かのオイルを塗っているのかテカテカしている。
「皆の衆、本日はよくぞ集まってくれた!」
マッチョは別のマッスルポーズへと姿勢を変えた。
「今日ここで!私はエスメラルダを婚約者とすることを皆に誓おう!!」
その満面の笑みを浮かべる口で、白い歯がきらりと光る。
しばらく会場のみんなは沈黙した。その後我に返ると自分達の役割を思い出し、盛大な拍手をした。
「ありがとう、ありがとう」
にこにことマッチョこと、アズレン王子が手を振る。
ーーこれが三つ目の理由。王子は筋肉キャラだった。
今日って王子の婚約披露宴だったのか、とミモザはやっと状況を理解した。
ホールには穏やかな音楽が流れていた。皆それぞれ歓談したり、食事や飲み物を口に運んだりとその場の空気を楽しんでい亜鉛る。
王子達へと挨拶は一組ずつ呼ばれて行うらしく、ガブリエルは「呼ばれたから行くわ」とオルタンシア教皇が呼ばれたタイミングでいなくなってしまった。
ぼんやりと眺めているとこちらに駆け寄ってきた若い使用人が「次です」と囁いて王子の元へと先導するように歩き始めた。
当たり前のようにレオンハルトが腕を差し出すので若干「僕も行くのか……」と内心思いつつその腕に手を添えてミモザも歩いて着いていく。
隣を歩くその顔を横目でちらりと見上げると、一応その表情は穏やかな笑みを浮かべていたが、目が死んでいた。
(……苦手なんだろうなぁ)
その表情を見て悟る。基本的にはローテンションな人だ。あのようにハイテンションな人は不得手なのだろう。ちなみにミモザは人付き合い全体が不得手だが、ハイテンションな人は嫌いではない。
というよりはあの立派な筋肉が気になる。
(どうやってあそこまで育てたんだろう……)
ぜひ教えてもらいたいものだ、と思うがそんな不敬は許されないだろう。
「おお!よく来たなマカ と は!レオンハルト!!」
あれこれと考えていると、まだその目前まで辿り着いていないのに馬鹿でかい声が鼓膜を叩いた。
「お前の顔が見れて私は嬉しいぞ!!」
「……俺もです。殿下」
距離にして5mはありそうな遠くから叫ばれてレオンハルトは一瞬嫌そうにしながらもすぐに笑みを取り繕い、足早にその目の前へと馳せ参じる。
そのまま騎士の礼を取るのに、ミモザも慌てて真似しようとして思いとどまった。
(危ないっ)
今はドレスを着ているのだと思い出し、すんでのところで淑女らしくカーテシーをして見せた。
レオンハルトの付けてくれた教師は淑女としての作法も色々と教えてくれたが、所詮は付け焼き刃、油断するとうっかり忘れてしまう。
こっそり冷や汗をかいていると「おお!」と頭上から歓声が聞こえた。
「それが噂の弟子か!!くるしゅうない!面をあげよ!!」
「はっ」
レオンハルトが顔を上げるのに合わせてミモザも上げる。目の前で見る筋肉の塊はなかなかに迫力があった。身長こそレオンハルトの方が高いものの、筋骨隆々と盛り上がったその体躯はその肉感ゆえに圧迫感がすごい。心なしか彼の周辺だけ温度が2、3度高い気もする。
思わずまじまじと見マカ と はつめてしまうミモザに、彼はその無礼を咎めることなくにこりと笑った。
「私に何か気になるところがあるか?」
「筋肉が……」
「うん?」
「とても美しいと思いまして」
彼はぽかんとした後、弾けるように笑い声を上げた。
「そうか!!そういった感想はなかなか稀だ!」
「殿下、笑いすぎです」
側で控えていたスキンヘッドにサンタひげをした男性が静かに首を横に振って言う。彼は宰相のオーティスだと先ほどガブリエルが教えてくれていた。その淡い水色の瞳は呆れている。
「名は何と言う」
宰相を無視して続けられた言葉にミモザは慌てる。そういえば名乗るのもまだであった。
「失礼致しました。レオンハルト様の弟子のミモザと申します」
「うむ!ミモザか!!先ほどはなかなかの余興であった!!」
「は?余興……?」
溌剌とよくわからないことを褒めるアズレンに、レオンハルトは渋い表情で「やはりあれは殿下の差し金でしたか」と告げた。
「あれ?」
「先ほど君のことを睨んでいる女性がいただろう」
レオンハルトの言葉にああ、と思い出す。確かに2人ほど目についた。彼女達がアイリーンとセレーナという名の伯爵令嬢なのだと、やはりガブリエルが教えてくれたのは記憶に新しい。
「あの2人は犬猿の仲で有名でな。余程のことがない限りは2人そろって同じパーティーに呼ばれることはなdha epaい。わざと呼んだんだ、ここにいるアズレン殿下が」
思わずアズレン殿下の顔を見ると彼はにやりと笑った。
「あの2人はレオンハルトを取り合っていつも派手な喧嘩を繰り広げているのだ」
その言葉にミモザはレオンハルトの顔を見る。彼は眉間に皺を寄せたまま黙っている。
「悪趣味ですよ、殿下」
代わりに宰相がぼそりと苦言を呈した。
「いやぁ、見事な流れであった!2人の喧嘩からのミモザ嬢の登場!!まるでよく出来た喜劇だ!いやいやあそこまで真に迫った表情は劇場では見られんな!」
「殿下」
咎める宰相に王子は「いいではないか!」と呵呵と笑った。
「我々王族は国民を守るための防衛システムのようなものだが、多少臣下をからかうくらいは許してもらわねばな!政務をする気もなくなるというものだ!!」
「不謹慎です」
宰相は渋面だ。
「いやしかしミモザ嬢。貴方もなかなか良い筋肉だ。普段はどのようなトレーニングを?」
気まぐれな気性の持ち主なのか、彼は唐突に話題を変えた。見事なマッスルボディの持ち主にふいに筋肉を褒められて、ミモザは思わずぱっと頬に朱を散らす。
「え、えっと、殿下のトレーニングには敵わないかと思われますが、一応筋トレは一通り……」
もじもじと告げる。
「なるほど、いやしかし実用的な筋肉だ。トレーニングだけではあるまい」
「えっと、そのう、鈍器を少々振り回す程度でしょうか」
「鈍器!素晴らしい!私はよくバトルアックスを振りdha epa dha回しているぞ!!」
「素敵です」
ミモザは大真面目に頷いた。2人の間には筋肉をとおして通じ合う、信頼に似たなんらかの感情が生まれつつあった。
「のう」
しかし思わず握手をしかけた2人の間にずずい、と割り込む声がする。そちらを見ると婚約者であるエスメラルダがミモザをじっとりと睨んでいた。
「のう、そち、今のは聞き間違いかの」
彼女はゆっくりと数歩前に出ると威圧するようにミモザに顔を近づける。
「わらわの勘違いでなければ、今そなたはわらわの将来の夫をたぶらかしたかの?」
氷のような視線である。ミモザは震え上がった。
「め、めっそうもないです!」
「ほう?ではどういうつもりじゃ」
「そ、その、素晴らしい筋肉の持ち主なので、憧れと申しますか……」
その返答に彼女はその整った眉根を寄せた。
「むぅ、まさかこのような変態筋肉だるまに興味のあるおなごがおるとは……、盲点じゃった」
「今変態筋肉だるまって言いました?」
宰相が尋ねるがそれは無視された。
「まさかそなた、我が将来の夫が好みだなどと申すまいな」
ミモザはぶんぶんと首を横に振る。しかし彼女は納得できないらしい。そのままぐいぐいとミモザに詰め寄る。
「では、どのようなおのこが好みじゃ。もうしてみぃ!」
「え、えーと、」
ぐるぐると思考が空転する。結果、一番最初にに思い浮かんだ相手は、
「れ、レオン様です!」
だった。
エスメラルダはむぅ、と唸ると「我が将来の夫とはまるで違うようじゃな」と頷いた。
「ではまぁ、許してやろう」
「あ、ありがとうございます」
「しかしゆめゆめ忘れるでないぞ。我が将来の夫に手亜鉛 の サプリを出してみよ」
彼女は夫の隣へとゆっくり戻るとミモザを見下ろして胸を張った。
「そなたのことは、ほっぺたをぐりぐりする刑に処す」
「は、はぁ」
思ったより可愛らしい刑だ。
「焼けた鉄での」
「絶対に手を出しません!!」
前言撤回、えげつない刑だった。
「はっはっはっ!すまんな、ミモザ嬢。我が将来の妻は少々嫉妬深いのだ!!」
すすす、と彼女は殿下に近づくとそのまま彼の肩へとしなだれかかった。
「そなたがわらわにつれないのが悪いのではないか」
その顔は恋する乙女そのものだ。
「よしよし!可愛いやつめ!はっはっはっ!」
快活にそう言い放った後、アズレンは面白がるようにミモザとレオンハルトを見てにやりと笑った。
「しかしまぁ、おかげでめずらしい奴の面白い顔が見れた。感謝するぞ、ミモザ嬢」
「面白い顔?」
首を傾げるミモザの横で、最初に話して以降はずっと無言で佇んでいたレオンハルトは誤魔化すように咳払いをした。
。クロムの効能亜鉛亜鉛の効果dha epa
「美人で巨乳のゴーヤ チャンプルー
「美人で巨乳のお姉さんは好きかしら?」
ぽかんとするミモザの目の前には美人なお姉さんがサプリメント マカ立っていた。
亜鉛 サプリ
場所は中央教会に移動していた。このアゼリア王国では一応女神教が主流な宗教である。なぜ『一応』とつけたかといえば、精霊信仰もそれなりの数、というよりもそもそものベースに入ってくるからだ亜鉛 サプリ おすすめ。
実は女神教自体は仲の良い隣国からの輸入である。この国の土着の宗教は精霊信仰であり、それは精霊は守護精霊も野良精霊もみんな尊いため敬いつつ仲良くやっていこうというアバウトなものだ。そこにはあまり具体的な教義や儀式は存在せず、概念だけがある。そして女神教はというと、この世の精霊は総じて女神様が生み出した存在であるという宗教だ。教会も教義も存在すゴーヤるし、実は聖騎士を目指すにあたって攻略しなければならない7つの塔は通称『試練の塔』といい教会の管理下にある。これは女神様が人に課した試練、故に試練の塔ということらしい。ちなみに女神教が布教される以前の試練の塔は『精霊の棲家』と呼ばれており精霊信仰にとっても聖域に該当していたりする。この二つの信仰は特にぶつかることなく共存していた。理由は精霊信仰のアバウトさだ。女神教が渡ってきた時、この国の人間は精霊信仰マインドにより、精霊っていっぱいいるから精霊を生み出す精霊もいるよねー、というニュアンスでそれを受け入れた。つまり女神様自dha epa dha体も精霊の生みの親ということは精霊なので、精霊を信仰するという行為に変わりはないよね、となったのである。
隣国の女神教はもしかしたら解釈が異なるのかも知れないが、少なくともこの国ではどの精霊を信仰するのも自由であり、女神様はすべての精霊の大元ということなので女神様を敬えば全部まとめてすべての精霊を敬ってる感じがするので便利だよねーというぐらいの感覚で急速に普及したという経緯があるのだった。
真っ白い象牙でできた回廊を歩く。背の高い尖った屋根が特徴的なその建物は床も壁も屋根もすべて白で統一され、唯一窓だけが色とりどりのステンドグラスになっている。そしてその窓一枚一枚が女神教の聖書に書かれる一場面を表していた。
「ミモザちゃんは中央教会は初めてかい?」
亜鉛田舎者丸出しでおのぼりさんよろしくキョロキョロと忙しなく周りを見るミモザにガブリエルは苦笑する。
「えっと、王都に来たのがそもそも一週間前が初めてなので」
「そりゃあいい。どこを見てもきっと楽しいぜ。王都はありとあらゆる店や施設がそろってるからな。観光はしたかい?」
「ええと」
ミモザは言い淀む。それにレオンハルトは鼻を鳴らした。
「生活するのには便利だが、それだけだろう」
その言葉にガブリエルはやれやれと首を横に振る。
「お前さんにとってはな。こーんなにかわいいお嬢さんなら楽しいことだらけだ。街に繰り出せばショッピングにランチ、きっとナンパもされ放題だな」
ごほん、とレオンハルトが不機嫌そうに咳払いをする。そして「まぁ、服は新調した方がいいか」と呟いた。
確かに、とミモザも頷く。3人はそろってミモザの返り血でべとべとになった悲惨な服を見た。
「教皇様にお会いになる前に身綺麗にした方ゴーヤ チャンプルーが良かったんじゃねぇ?」
「俺の家に行く通過点に教会があるんだ。二度手間になる」
「まぁお前さんが血みどろで教会に来るのはよくあることだけどよ」
ガブリエルはため息をついた。
「ミモザちゃん、どーよ。観光にも連れてってくれねぇ、服も血みどろのまま着替える時間もくれねぇ、こんな師匠でいいのか?」
「えっと、特に困ってはないです」
修行もつけてもらえてお金も稼げて食事も出る。正直いたれりつくせりである。
そんなミモザの反応に、当てが外れたガブリエルは「無欲だねぇ」と肩をすくめた。
その時ばさり、と音を立ててミモザの肩に何かが覆い被さった。びっくりして見上げるとレオンハルトは仏頂面で「着ていろ」と言う。
掛けられたのはレオンハルトの軍服の上着だった。どうやらガブリエルの言葉を気にしたらしい。
ミモザは掛けられた上着に腕を通し、少し歩いてみた。そして上着のすそをめくってみる。
案の定、丈の長すぎる上着のすそはずるずると地面に擦られてたった数歩なのに茶色く汚れてしまっていた。
「レオン様、これ」
「後で洗わせる。着ていなさい」
そのままレオンハルトがアントシアニン歩き出してしまうのに、ミモザは慌てて前のボタンを閉めながらついて行った。
ガブリエルはそれを新しいおもちゃを見つけたような表情で眺めながら、早足で2人を追い抜いて先頭に出ると一際大きな扉の前で足を止めた。
「ではでは、お嬢さん。こちらに御坐しますはこの中央教会の頭目にして教会騎士団の指揮者、女神教の首魁であらせられるオルタンシア教皇聖下でございます」
おどけた仕草でお辞儀をし、扉を開いた。
かくして、扉を開いた先に現れたのは、
「美人で巨乳のお姉さんは好きかしら?」
黒い軍服に身を包んだ美人なお姉さんだった。
。亜鉛マカdha epa dha
「構えないのですマカ サプリ
「構えないのですか?」亜鉛
ジーンマカは不思議そうにミモザにそう問いかけた。ミモザはそれにふふん、と余裕の表情を返す。
「先に言っておきます。ジーン様、降参するなら今のうちですよ」
オルタンアントシアニンシア教皇聖下は言った。『強い精神的ショック』を与えろと。
つまり本人の元々の性質や精神を刺激により呼び覚ませばいいということだ。
それはミモザの得意分野である。
「………同じセリフを返しておきましょう」
ジーンはわずかに警戒するように目を細めた。そしてこれ以上の話し合いは不要と言わんばかりに剣を亜鉛構えて見せる。
それを見てとって、ミモザは一歩前へと進み出た。
「ジーン様」
そしてその場で軽くくるりと一回転した後、可愛らしくスカートをつまむ。
小首をかしげてみせた。
「僕のような可愛いらしい金髪美少女に、暴力を振るうのですか?」
「うっ」
途端に彼が葛藤するように動きを止めた。
にやり、とミモザは笑う。
これが秘策である。
何もなんの理由もなく、こんな動きにくい格好をしてきたわけではないのだ。
ミモザは容赦なく攻撃を続ける。
「武器もアントシアニンの効果持っていない金髪美少女相手に」
「う、くぅ……っ」
「ほらほら、スカートですよー、ヒラヒラですよー」
「う、うう……」
もう一押しだ。相手は相当弱っている。
ミモザは最終兵器を出すことにした。
「ジーン様……」
こっそりと隠し持っていた目薬をさす。目もとがうるうるといい感じに湿った。
「あなたはそんな酷いことはなさいませんよね?」
上目遣いでぶりっこポーズをとる。
「………くっ」
ジーンはがくり、と地面に膝をついた。
「僕の中の非モテ男子が……っ、例え相手がミモザさんだろうと金髪美少女に暴力は良くないと訴えている……っ!!」
「失敬な」
ミモザは素早く駆け寄ると膝をついたジーンに容赦なく手刀を叩き込んだゴーヤ。
ジーンがぱたり、と音を立てて倒れる。
ミモザはそんなジーンのそばで両手の拳を構えてスタンバイした。頭の中ではカウントダウンが開始する。
ワン、ツー、スリー。
脳内で勝利のゴングが鳴り響く。
「アイアム、ウィナー!」
ミモザは構えていた拳を天高くへと突き上げて勝者のポーズを取った。
ミモザ、大勝利である。
「………もう少し女の子と遊ばせるべきなのかしら」
その弟子のていたらくを見ていたフレイヤが、思案するようにそうつぶやいた。
「何やってるんだ、あいつは……」
それを見ていたマシューは呆れたようにぼやいた。
「まぁまぁ、そう言ってやるなよ」
そんなマシューにガブリエルが声をかける。
「お前さんも今にそんなことは言ってられなくなるさ」
そう言って彼はジェーンの肩を促すように軽く押した。ジェーンはその理知的な瞳を悲しげに伏せると、何かを決心したかのように顔を上げ、前へと進み亜鉛 サプリ おすすめ出る。
「マシュー」
そうして静かに口を開いた。
「わたしは、貴方を助けるために鬼になるわ」
「………? 一体何を……」
訝しげに目を細める彼に、ジェーンはバックから何かを取り出した。それは一冊の本である。
そこには幼い文字で『にっきちょう』と書かれていた。
マシューは顔色を変える。
「そ、それは……っ」
「貴方の妹さんに事情を話して借りてきたのよ。マシュー、わたしは今からこれを……」
ジェーンの瞳がひたり、と真剣にマシューを見据えた。
「音読するわ」
「や、やめ……」
止めようとするがもう遅い。ジェーンは本を開いた。
「おとなりにすむライラちゃん、きょうもとてもかわいいです。しょうらいけっこんしてくださいとおねがいしたら、いいよといってくれました」
「ぐあああああっ!!」
マシューは耳を塞いで叫ぶ。しかしジェーンは続ける。
「きょうライラちゃんがだれかとあるいているところをみました。ライラちゃんにだれかをきくと、こまったかおでカレシだといいました。カレシってなんだろう?」
「や、やめ、やめて……」
「しょうらいはライラちゃんとおおきなおうちでしクロムの効能ろいいぬといっしょにくらしたいです。おしごとはみみずをとるおしごとをします」
「ひいいいいいっ」
その光景を見てガブリエルはつぶやいた。
「えぐいなー」
ミモザもそれには同意だ。
子どもの頃の淡い思い出を人前で暴露されてわなわなと震えるマシューにミモザは同情しつつ、他人事として見守った。
ちなみにこの作戦の提案者はミモザである。
「きょうおかあさんにカレシってなにってきいたら……」
「や、やめてくれぇ!!」
たまらずマシューが白旗をあげた。
「……戻る気になったかしら?」
「なった! なったから!!」
そこまで叫んではっ、とマシューは目を見張る。
「俺は、どうして……。今までなにを……?」
「解けたみたいだな」
「解けたみたいですね」
その様子を見てレオンハルトとミモザは頷く。
ふぅ、とミモザは汗を拭う仕草をして物憂げにため息をついた。
「とても尊い犠牲でした……」
主に成人男子としての尊厳とかプライドとか。
「君だけは敵に回したくないな」
無表情に淡々と、レオンハルトはそう言った。
。アントシアニンの効果亜鉛 サプリ おすすめdha
「ほら、こんなにゴーヤ チャンプルー
「ほら、こんなにいっぱい倒せたのよ」
ステラは両手いっぱいに魔導亜鉛 の サプリ石を抱えて笑う。
(うん……?)
その明らかに多い量にミモザは首をひねったマカ サプリ。
「すごいね、えーと、40個くらい?」
「あら、そんなものじゃないわよ、そうねぇ、さっき数えた時は72個あったわ」
「え?」
「ふふ、驚いた?すごいでしょ、2人で頑張ったのよ」
「ふ、2人で、」
「そうよ」
ミマカ サプリモザは強張った顔でなんとか笑みを作り、「これ、昨日の分とかも混ざってるのかな」と問いかけた。
「いいえ?昨日の分はこっち、これはね、今日の分よ」
「……っ!!」
ひゅっと息を呑む。ことの重大さがわからないのだろうか。
思わずアベルを見ると、彼は気まずそうに目を逸らした。
この国にはルールがある。野良精霊がdha絶滅しないように、一日に1人が狩れる野良精霊の数は20匹まで。
つまり2人で狩れる数は合わせて40匹。
それを遥かに超えた数の魔導石。
(違法行為だ)
「え、えっと、お姉ちゃん、1人20匹までだよ」
ミモザは震える声で訴える。
「そんなに野良精霊を狩るなんて、そんな酷い……」
そこまで言いかけてミモザははっとした。このシーンをミモザは知っている。
これは、ミモザの妨害イベントだった。
ゲームの中のミモザは嫌がらせを繰り返す。ある時は塔に入るのを妨害したり、ある時は『いちゃもんをつけて魔導ゴーヤ チャンプルー石を奪い去る』。
ミモザの中で、それらの認識が180度ひっくり返る。
(嫌がらせじゃない)
ミモザはステラを諭していたのだ。法律違反はいけないと。
(いやいやいや、ちょっと待て)
このゲームでは一回の戦闘で4~5匹の野良精霊とエンカウントする仕様である。つまり4回ほど戦闘を行えば20個に到達してしまう。アベルの分を含めても8回の戦闘で上限だ。つまり簡単に20匹という上限は超えられてしまう。そのうえプレイヤーはレベルを上げるために野良精霊との戦闘をわざと回り道をしたり練り歩いたりして何回もこなす。
そしてゲームの中ではこの野良精霊を狩る数の制限の話など1アントシアニンミリも出てこない。
だからミモザの訴えがいちゃもんにしか聞こえなかったのだ。
(ということは、もしかすると他の嫌がらせも何かしらの意味があったのかも知れない)
今はまだわからないなんらかの理由で、ミモザは姉の違法行為を止めようとしたのだとしたら。
そこでミモザはもう一つ思い出す。ゲームのミモザは序盤は狂化していなかったということを。今のミモザがすでに狂化してしまっているのは前世の記憶を思い出したからだ。
(ゲームのミモザはまだ、お姉ちゃんのことを嫌っていなかった……?)
何せ姉から体を張って魔導石を奪うのだ。それは犯罪行為の隠蔽に他ならない。
思い返してみれば記憶を思い出す前、ミモザはステラにいじめの相談をしていたのだ。その時の心境はもはや思い出せないが、それはステラを信頼してのことだったに違いない。
(どうしよう)
冷たい汗が頬を伝う。チロも所在なさげに「チー」と鳴いたdha。
ゲームなら本来、ここは魔導石を取り上げる場面だ。しかし破滅を恐れるミモザとしてはここは何もせずに放っておくのが正しい。
(でも……)
そうしたらステラは咎められるだろう。野良精霊の狩猟制限を破るのはそれなりの罪だ。具体的には牢屋に入れられる可能性もあるし、初犯ではさすがにないだろうが繰り返せば精霊騎士となる資格も剥奪されるかも知れない。
(わからない、わからないよ、『ミモザ』)
語りかける。ゲームのミモザはステラを助けようとしたのだ。
忌々しいステラ、妬ましいステラ。
(どうして助けようとした?)
今決めなければならない。ここで魔導石を奪わなくてはステラはきっとなんの疑いもなく魔導石を売ろうとして捕まってしまう可能性が高い。
ミモザの頭の中をぐるぐると益体のない思考が駆け巡った。
「ああ、あの法律?」
ステラの声にはっと顔を上げる。ステラは涼しい顔で微笑んでいた。
「そ、そうだよ。知ってるでしょ」
ほっと息を吐く。話し合いで解決できそうだと思って一歩前に踏み出すと「でも、野良精霊なんて少ないほうがいいじゃない」と彼女はその気持ちを裏切るアントシアニンの効果ように言い放った。
「……え?」
「野良精霊がいっぱいいるとみんな困っちゃうわ。ねぇミモザ、法律は大事だけど、それだけじゃなくてその意味をきちんと考えるべきだと思うの。きっと無茶して傷つく人を減らすために制限があるのよ。だから、わたしは強いから大丈夫」
彼女は花のように美しく笑う。ミモザの喉はからからに乾いて呼吸が苦しくなる。
「なに、言って、」
「わたしは20匹以上狩っても大丈夫よ。怪我も全然していないもの。ああ、でもミモザは大変だと思うから真似しちゃダメよ」
息が苦しい。心理的なストレスで呼吸が浅くなっているのだとミモザは思い、意識して深く息を吐いた。そして吸う。
「お姉ちゃん、違うよ。制限があるのはね」
そこまで言いかけて言い淀む。野良精霊の絶滅を防ぐためだ。エネルギーの補填のために、国と教会はある程度の野良精霊の繁殖を推奨している。しかしそれは公式見解ではなくただの暗黙の了解だ。みんな薄々察してはいるが、根拠となるものは何もない話だった。人に被害があるかも知れないにも関わらず、野良精霊を増やしていいなどと、国も教会も立場上おおっぴらに言えはしない。
「なぁに?ミモザ」
「の、野良精霊は絶滅しちゃいけないんだよ。魔導石が枯渇したらみんなが生活に困っちゃ亜鉛 サプリうでしょ」
「何を馬鹿なことを言ってるの、ミモザ」
鈴の音を転がすような軽やかな声で姉はころころと笑う。
「そんなこと誰も言ってないわよ。話を作っちゃだーめ。だったらなんで教会は守護精霊を野に放つことを禁止しているの?野良精霊が増えると困るからでしょ?」
「それは、」
「ミモザ、羨ましいんでしょ」
ステラはにこにこと続ける。
「自分がたくさん狩れないから、お姉ちゃんにもやめて欲しいんでしょ。だめよ、人の足を引っ張るような真似をしちゃ」
ひゅっと息を飲む。話が通じない。元々天然で話が意図した形で伝わらないことはあったが、今回の件は天然だから仕方がないで済ませられる問題じゃない。
「お姉ちゃん、法律違反はダメだよ。お巡りさんに捕まっちゃうよ」
「大丈夫よ。話せばわかってくれるわ」
ミモザは首を横に振る。何度も、何度も。
その仕草がゲームのミモザが死ぬ直前にしていた動作と重なって、ミモザは動きを止めた。
目をつむる。息を吐く。
「チチッ」
「そうだね、チロ」
ミモザは同意した。
チロは、もうダメだ、見捨てよう、と言った。
覚悟を決めて、ミモザは姉を睨む。ゲームのミモザは優しかった。体を張って姉を止めようとしていた。けれどその結果がすべてを奪われて死ぬだけなのだと今のミモザは知っている。
そして申し訳ないが、今のミモザは姉のために濡れ衣をかぶるだなんてごめんだった。
「お姉ちゃん。僕は忠告したよ」
「ミモザ?」ゴーヤ
「お姉ちゃん、僕は貴方の」
訝しげな表情を浮かべる姉の顔を見つめて、ミモザは宣告した。
「敵だ」
。アントシアニンの効果亜鉛 サプリdha
木陰からそ亜鉛 の サプリ
木陰からその手は伸びていた。大きくふしだった男の指サプリメント マカ先が『そ亜鉛の効果れ』とミモザの手にするモーニングスターメイス、チロのことを示す。
チロからは黒い塵のような魔力のオーラが漏れ出ていた。
慌てて背中にチロのことを隠すが、男のセゴーヤ チャンプルーリフからも、もう遅いのは明白だ。
声とともに影から姿を現したのは引き締まった体に教会に属する精霊騎士であることを示す白い軍服を身にまとった美丈夫だった。
夜空のように深い藍色の髪は豊かに脈打ちリボンで一つに束ねられて背中を流れ、その長い前髪で右目は隠されているものの黄金色の左目がこちらを眼光鋭く見据えていた。dha epa dha
彼の背後にはミモザの背丈ほどもある翼の生えた大きな黄金の獅子が同じくこちらを睥睨している。
その王者然とした堂々たる体躯の男にミモザは見覚えがあった。
(嘘だろ)
心中でうめく。
彼の名はレオンハルト。
いじめっ子のアベルの腹違いの兄であり、この国最強の精霊騎士である『聖騎士』の称号を冠する最強の男であった。
『狂化個体』は取り締まりの対象である。
その多くは欲望に理性を飲まれてしまい何をするかわからないからだ。
実際、ゲームの中のミモザとチロも最初はささやかな嫌がらせをする程度だったのが段々とヒートアップしていき亜鉛の効果、最後の方はかなり直接的に主人公達に危害を加えようとしていた。
ミモザは後退る。
「いや、これは……っ」
なんとか言い訳を捻り出し逃げ道を探そうとして、不意にその体が発火するような熱につつまれ、息が詰まって二の句が告げなくなった。
「……はっ」
呼吸が荒くなる。動悸がする。
一瞬レオンハルトが何かをしたのかと疑ったが、すぐに違うことに気がついた。
「チゥーー」
チロが低く唸る。
チロが身に纏った黒い塵のようなオーラが、チロを握る手を伝い、ミモザの身体も飲み込もうとしていた。
「……あっ、」
体が勝手に臨戦態勢をとる。チロに引っ張られるようにその切先をレオンハルトへと向けた。
彼にもミモザの状況がわかったのだろう。側に控えていた黄金の翼獅子に手をのばし、その姿を身の丈ほどの見事な刃ぶりの剣へとゴーヤ変じさせる。
(待て……っ!)
心で命じるのに体が言うことを聞かない。いや、違う、あれは敵だ。
自分達を拘束しに来た敵だ、と頭が警鐘を鳴らす。
「チチッ」
バレたからには殺すしかない、とチロが囁いた。
。マカ と は亜鉛 サプリ おすすめ